9月12日24日という短い期間に通過国も含めて7カ国を回るというハードスケジュールの欧州旅行。
歳のせいもあってか、帰国後は少々へばり気味であった旅程のうち車を運転しなかったのは、フランスのシャルルドゴール空港を発つ日と、その翌日の帰国日のみという、結構ダイナミックなドライブ旅であった。
トランクに荷物を積んで欧州を彷徨い歩くは、言うなればジプシー気分。
同行した高齢の母親にはとんでもない体力の消耗を強いたような気もするが、我が母もまたジプシー性格が強く、何とかその旅に耐えた。
そのドライブ旅行のなかで、スイスの登山鉄道を除き、純粋な移動のために2区間だけ列車に乗った。
オーストリアのザルツブルクからスイスのチューリヒまでと、フランスのリヨンからパリまでである。
自動車や道路交通の記事を多く手がけていることから、もっぱらドライブ好きと業界の連中から思われている私であるが、実は汽車旅、船旅、飛行機旅も大好きである。
最初に欧州を旅した87年に当時の西ヨーロッパ諸国+ハンガリーの鉄道に乗り放題というユーレイルユースパスを片手に2ヶ月間たっぷりと放浪した思い出があり、今でも欧州の列車に乗ると、それだけで心が言いようもなく高揚してしまう。
オーストリアからスイスへ向かうさいに乗ったのは、オーストリア国鉄が近年投入した新鋭の特急レイルジェットであった。
かなりの急カーブも高速で通過できるというイタリアフィアット社が誇るペンドリー振り子に対抗するために、ドイツジーメンス社が開発したアクティブサスペンション式高速列車である。
オーストリア国鉄レイルジェット最高速度230kmhで高規格路線を走行可能であるばかりでなく、アクティブサスペンションによってカーブの多いオーストリアのチロル地方の山間部も従来車両より速く走ることができるとのこと。
この写真は運転台付き客車。
オーストリアスイス国境駅ブッフスで列車の進行方向が逆になるが、運転台付き客車を後部に連結することで、機関車を連結し直さなくとも推進運転後ろから推して走らせるにて走行可能。
停車時間が大幅に短くなった。
レイルジェット1等車レイルジェットの車内インフォメーション車内には現在の速度、到着時間、走行地唐ブップ表示など、飛行機のフライトインフォメーションのようなディスプレイが。
ジェットと名付けられているゆえんである。
写真は国境を超えてスイスの国境駅ブッフスに向かう様子の表示。 リヒテンシュタイン公国のすぐそばである。
早朝にザルツブルク発霧をまとったザルツブルクの山を車窓に見る。
オーストリアアルプスの素晴らしい山容を見ながら走る欧州の長距離列車には必ずといっていいほどビュッフェないし食堂車が連結されている。
この列車はビュッフェ。
ペンネを食べた。
チューリヒに到着直前。
チューリヒ湖のほとりをゆっくり走る様子を動画に撮ってみた。
もうひとつの列車はTGV。
フランスは昔から高速列車への執着が強かった国で、蒸気機関車の時代から営業速度160kmh超を実現していた。
ミッテラン大統領時代に新幹線に対抗してTGVを開設。
私が初めて欧州を旅した時、話のモネにと、意味もなくパリからリヨンまで乗ってみたものだった。
当時の最高速度は270kmh。
現在は300kmh運行。
開通したばかりのストラスブールパリ間は320kmh。
パリに到着する直前の様子を動画に撮ってみた日本では新幹線はすべて専用線を通るが、フランスはTGVも在来線も線路幅が同じであるため、電化されている区間ならば在来線も走ることができる。
この動画は専用線を抜け、パリ近郊のトランジリアン路線を走っている様子。
すでに速度を特急、準急と同様の200kmh以下に落としているが、なめらかの乗り心地でなかなか快適終着駅のパリリヨン駅にて乗ってきた列車の機関車を写すすでに前照灯から赤い後部警戒灯に切り替えられているリヨンパールデュー駅にて2階建て車両を写すTGVのビュッフェ味は前出のレイルジェットに明確に負けている秋の霧に包まれるブルゴーニュの大地この季節になると、フランスの天気予報には晴でも雨でも曇でもない、霧の予報が至るところに表示される。
フランス革命暦では今はヴァンデミエール葡萄月。
1ヶ月ほど後に訪れるブリュメール霧月を予感させるような詩的な風景であった。
パリリヨン駅にはイタリアとフランスを結ぶ寝台特急の姿があった。
昔は欧州には多数の国際寝台特急ユーロナイトが就航していたのだが、格安航空会社の台頭とともに急速にその数を減らしている。
出発を待っている寝台特急も、トランブルーブルートレインの意の優雅な装いはすでになく、いささか趣味の悪い色に塗られていた。 昔は寝台車の側面にTENと大書されていたものであった。
TransEuroNightの頭文字が太ゴシックで、小文字が細字で書かれているためそう見えたのだ。
ちなみにNightの文字は車両の国籍によってNachtドイツNuitフランスNotteイタリアと異なっていた。
寝台車の乗車口にはこれまた、寝台車と英独仏伊の4ヶ国語で書かれていたものだった。
金色の帯の中での抜き字である。
4ヶ国語表記は今も同様だが、その表示は無味乾燥な電光掲示板に変わってしまっており、表示内容も簡素なもの。
驚いたのは、2等寝台に自由席寝台なるものがあることだった。
定員だけ乗車させるためベッドにあぶれることはないが、どこに寝るかは早い者勝ちなのだとか。
価格は飛行機に対抗してかなり抑えられているとのこと。
パリリヨン駅に停まっていた寝台特急こちらは古の豪華寝台の名残をとどめる1等寝台窓の少なさを見れば、個室の専有面積の大きさがわかるというもの。
シャワー、平置きベッドという、まさに走るホテル。
などという四方山話であった
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